日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
20 巻 , 3 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
今号のハイライト
総説
  • 寺島 秀夫
    2013 年 20 巻 3 号 p. 359-367
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    侵襲が加わった生体のエネルギー需要は,侵襲反応として供給される“内因性エネルギー供給”と栄養療法として投与される“外因性エネルギー供給”の相互作用によって充足される。従来の栄養療法は,侵襲急性期においても,生体の安静時エネルギー消費量をエネルギー必要量として外因性にすべて供給するとした基本コンセプトを採用してきた。しかし,このエネルギー投与法は,内因性エネルギー供給が全く考慮されていないため,必然的にoverfeedingとして作用する結果,蛋白代謝の改善が得られないばかりか,高血糖ならびに一連の栄養ストレスによる有害事象が惹起され,栄養療法自体が逆効果になりかねない危険性を内包していた。このような状況を踏まえ,侵襲下のエネルギー基質動態,栄養療法の効果と限界,overfeedingが誘発する諸問題について論説し,内因性エネルギー供給を考慮した理論的なエネルギー投与法を新たに提言した。
  • 森 力哉, 五十嵐 達, 森崎 浩
    2013 年 20 巻 3 号 p. 368-372
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    腸管は外界に通じる腸管内腔常在細菌叢と共存し,腸管免疫機構を発達させる一方,腸内細菌の侵入を防ぐ粘膜壁を構築している。その理由は,腸管はcanary of the bodyと称されるほど脆弱な臓器で,さまざまな侵襲により惹起された過剰な炎症反応が,この粘膜防御機構を構造的・機能的に破綻し,腸内細菌叢の異常増殖と共に重症患者の病態を悪化させる点にある。特に,腸管周囲には腸管関連リンパ組織が密に存在し,生体免疫機構に重要な役割を果たしている。本稿では,急性期重症患者における腸管免疫機構の意義を概説する。
  • 藤田 基, 鶴田 良介
    2013 年 20 巻 3 号 p. 373-379
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    一酸化炭素(CO)中毒の間歇型は,CO中毒患者の亜急性期から慢性期における予後を規定する病態である。その病態は,COによる直接的・間接的な虚血による神経細胞傷害と脱髄性傷害が主体と考えられる。診断は急性CO中毒後,無症状期を経て40日以内に出現する失見当識,記銘力障害などの多彩な精神神経症状による。また積極的に複数の検査を組み合わせた評価バッテリーを行う方法がある。間歇型発症率は0~46%と報告されており,予測因子としては意識障害の有無,年齢36歳以上,血中carboxyl hemoglobin(COHb)濃度25%以上,CO曝露から治療開始まで24時間経過していること,白血球増多などが報告されているが,一定したものはない。また予防として高気圧酸素治療が有効である可能性があるが,その効果について未だ議論が分かれており,今後のさらなる症例の蓄積,検討が必要である。
解説
  • 卯野木 健
    2013 年 20 巻 3 号 p. 381-386
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    Quality indicatorは,現在行われている医療の質を示すために用いられ,質を改善する試みを行う場合に必須なものである。その中で,看護の質を示す指標はnursing-sensitive indicators(NSI)と呼ばれる。NSIには,褥瘡発生率,転倒転落率などが挙げられるが,急性期領域ではさらに鎮静深度や離床までの期間などもNSIとして定義されうると考えられる。しかし,看護師の役割や責任範囲は施設間で異なるため,ある指標がNSIと成りうるかは施設によって異なる可能性が大きい。今後は看護師の役割や責任範囲を標準化し,どのような指標がNSIとして妥当なのかを検討する必要があるだろう。
原著
  • 山内 康太, 島添 裕史, 石村 博史, 鈴木 裕也, 熊谷 謙一, 海塚 安郎, 東 秀史
    2013 年 20 巻 3 号 p. 387-394
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    【目的】早期離床は術後管理において重要な構成要素の1つであるが,起立性低血圧(orthostatic hypotension, OH)をきたした場合,理学療法の介入が遅れ早期離床の阻害因子となる。本研究では胃癌に対し待機的胃切除術を施行した症例を対象に,術後1日目離床時におけるOHの発症率および発症因子を調査した。【方法】2004年4月から2011年8月までに胃癌で待機的手術を施行し,周術期理学療法を実施した211例を対象とした。調査項目としては,OH発症の有無および術前,術中,術後の3期においてOHに影響したと想定されるすべての因子を診療録より抽出した。【結果】胃癌術後1日目におけるOHは78例(37.0%)であった。多重ロジスティック回帰分析において,OH発症に有意に影響した因子は虚血性心疾患の既往の有無〔odds ratio(OR)2.317,95%confidence interval(CI)1.118~4.805,P=0.024〕,術後血清アルブミン値(albumin, Alb)(OR 0.362,95%CI 0.180~0.725,P=0.004),術後WBC(OR 1.008,95%CI 1.000~1.017,P=0.043),術後平均動脈圧(mean arterial pressure, MAP)(OR 0.968,95%CI 0.947~0.991,P=0.006)であった。【結論】胃癌術後におけるOHは37.0%と高率であり,虚血性心疾患,術後Alb,術後WBC,術後MAPが関連していることが示唆された。
  • 東 龍哉, 木村 聡, 松本 森作, 武藤 渚, 山之井 智子, 中村 公輔, 宮崎 峰生
    2013 年 20 巻 3 号 p. 395-399
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    【目的】Howell-Jolly小体(Howell-Jolly bodies, HJb)と脾体積の関連性,および脾体積変動の検討。【方法】当院CT検査で脾体積が100 cm3以下で2回以上HJbの有無を検査した症例を対象とした。またHJbが確認された症例で複数回CT検査を行った症例については脾体積変動を評価した。【結果】対象39例をHJbが常に出現(I群),ときに出現(II群),全く出現しない(III群)に分けた。男性の平均脾体積はI,II,III群それぞれ25.6 cm3,45.3 cm3,71.1 cm3であった。女性のI群症例はなく,II,III群はそれぞれ59.8 cm3,62.2 cm3であった。脾体積変動は11例中3例はうっ血性心不全により2倍程度の体積変動を認めたが,他8例は変動がほとんどなかった。【結論】脾体積とHJb出現は男性で相関を認め,全身状態が安定している症例では脾体積変動は少ないことから,脾体積やHJb出現は脾臓の免疫機能低下の指標となりうる。
症例報告
  • 山本 浩, 澤村 淳, 向井 信貴, 菅野 正寛, 久保田 信彦, 上垣 慎二, 早川 峰司, 丸藤 哲
    2013 年 20 巻 3 号 p. 401-404
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    過去10年間において男性2名,女性4名の計6例の急性リチウム中毒を経験した。炭酸リチウムの服薬量は,全症例において中毒域に達するとされる40 mg/kg以上であった。血清リチウム濃度が判明した症例は2例であり,ともに致死濃度である4 mmol/lを超えていたが,1症例に持続的血液濾過透析を施行した。輸液療法主体の症例では血清リチウム濃度の減少勾配は比較的緩やかであり36時間後でも有効治療域を超えていたが,continuous hemodiafiltration(CHDF)症例では速やかに血清リチウム濃度は治療域に減少し,CHDF離脱後の再上昇も認められなかった。血清リチウム濃度の測定ができない施設があり,臨床症状では中毒症状の判断ができないことが指摘されている。血清リチウム濃度が中毒域を超えている場合,あるいは中毒域に達するとされる40 mg/kg以上の服用例では急性血液浄化法導入を考慮すべきと考えられた。
  • 安田 治正, 三嶋 正芳, 米本 俊良
    2013 年 20 巻 3 号 p. 405-409
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    Posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)は,急性期に神経症状を伴い,脳浮腫を呈する症候群であり,様々な背景疾患が報告されている。運動後急性腎不全を契機としてPRESを発症した1例を経験した。症例は16歳,男性。運動後,腹痛・嘔気・嘔吐を認め,3日間軽快せず,意識障害と痙攣が出現し救急搬送された。入院時,クレアチニン値が高値を呈し,ミオグロビンおよびCK,尿酸の上昇はなかった。保存的治療で非乏尿性腎不全は軽快した。造影CTでは造影剤排泄遅延を認め,両腎実質が楔状に描出された。以上より運動後急性腎不全と診断した。頭部MRIにより両側白質の高信号領域は血管原性浮腫であることを確認し,PRESと診断した。PRESの診断に際しては,PRESという疾患の認識が何より重要であり,MRIが有用であった。
  • 宮本 聡史, 國廣 龍雄
    2013 年 20 巻 3 号 p. 410-413
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/08/09
    ジャーナル フリー
    我々は,ICUにおいて僧帽弁置換術後の完全房室ブロックに対する体外式ペースメーカ使用中の不適切作動を,ペーシングシステムアナライザ(pacing system analyzer, PSA)にて解析したので報告する。事象は心拍数増加と徐脈であった。心拍数増加は,心房ペーシングを心室側の不応期内でセンシングするクロストーク後の心室セーフティペーシングによるものであった。徐脈については,心室不応期を脱した遅いクロストークを心室でセンシングし,心室ペーシングが抑制されていた。心拍数増加と徐脈を繰り返したが,徐脈の時間が短かったため患者の血行動態に異常は認めなかった。クロストーク波高は自己波高より大きかったため,心房出力を調節した。ペーシングワイヤはノイズの影響を受けやすいため,術後DDDモードを使用する場合,細かな測定が可能なPSAを使用し留置部位を決定することで,術後の安全性が高まると考えられた。
短報
レター
委員会報告
feedback
Top