抄録
エイコサペンタエン酸,γリノレン酸及び抗酸化物質を強化した免疫調節経腸栄養剤(immuno-modulating enteral diet, IMD)の日本人に対する有用性を検討した。10施設で人工呼吸管理が必要な重症敗血症/敗血症性ショック70症例を対象とし,割付封筒法にてIMD投与群と既存の経腸栄養剤投与群に分けた。これら両群で肺酸素化能及び臓器障害の変化,抗炎症作用,凝固系への影響,人工呼吸器装着日数及びICU入室日数の減少,救命率の向上等につき比較検討した。その結果,IMD投与群において14日目のC-reactive protein血中濃度の有意な減少が確認された。また,IMD投与群において4日目及び7日目のprothrombin time international normalized ratioの有意な延長を認めた。日本人に対する本IMDの有用性を確認するためには,より大規模な臨床試験が行われる必要がある。