日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
ピルビン酸代謝異常症の難治性乳酸アシドーシスに血液浄化が有用であった一例
堀 耕太郎竹田 健太井手 岳西 信一
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2014 年 21 巻 2 号 p. 165-168

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抄録

ピルビン酸脱水素酵素複合体はエネルギー産生において非常に重要な酵素であり,その異常により高乳酸血症を呈する。今回,ピルビン酸脱水素酵素複合体異常症の難治性乳酸アシドーシスに対して,急性血液浄化が有用であった1例を経験したので報告する。症例は3歳,女児。入院時,原疾患の急性増悪による高度の乳酸アシドーシスのため意識障害を来しており,ただちに持続血液透析を導入した。しかし血液浄化導入後もアシドーシス改善がすぐにはみられなかったため,透析液流量を増量して対応したところ,改善傾向を認めた。高度の乳酸アシドーシスから回復した後は血液浄化からも離脱できたが,今回の病態の影響と思われる脳障害を認め意識回復はみられなかった。本症例の経過から透析液流量増量による急性血液浄化が難治性乳酸アシドーシス改善に有用である可能性が示唆された。血液浄化の際には,各症例の病態に応じた最適な操作条件を常に検討すべきである。

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© 2014 日本集中治療医学会
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