2015 年 22 巻 5 号 p. 435-438
症例は42歳,女性。腹痛と悪心嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した。血液生化学検査と腹部造影CT検査から重症急性膵炎の診断で入院した。入院時,急性膵炎の重症度判定基準による予後因子1点であったが,入院2日目に5点に悪化したため,翌日ICU入室となった。入院時の血清トリグリセリド(triglyceride, TG)値12,815 mg/dlと異常高値を認め,著明な高TG血症が急性膵炎の原因と考えられたが,ICU入室時のTG値は1,990 mg/dlまで低下していたため血漿交換は施行せず,インスリンとヘパリンの持続静脈内投与にてTG値の低下を図った。ICU入室後TG値は順調に低下し,輸液,経腸栄養などの支持療法によって急性膵炎は改善,入室14日目にICU退室となった。本症例は糖尿病,肥満,薬剤など複合的要因によって著明な高TG血症をきたしたと考えられた。