日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
腹部大動脈瘤破裂に対してステントグラフト内挿術を施行した後,腹部コンパートメント症候群に至った1例
竹前 彰人金本 匡史塩澤 真利子神山 治郎松岡 宏晃戸部 賢国元 文生齋藤 繁
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2016 年 23 巻 4 号 p. 389-392

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抄録
腹部大動脈瘤破裂症例に対するステントグラフト内挿術は,開腹人工血管置換術と死亡率が同等であるとの報告がある。今回は緊急ステントグラフト内挿術を施行したが,術後に腹部コンパートメント症候群が悪化した1例を経験したので報告する。症例は62歳男性,腹部大動脈瘤に対し大動脈閉塞バルーンカテーテルを下行大動脈に留置し,バルーン拡張下に緊急人工血管内挿術を施行し,明らかなエンドリークは認めなかった。しかしその後もバイタルサインの不安定および腹部膨満が増悪し,腹部コンパートメント症候群に至ったため,緊急で開腹減圧術を施行したが,術中に心肺停止状態となり死亡した。大動脈瘤破裂症例に対する人工血管内挿術治療が成功しても,腹部コンパートメント症候群に至ると死亡率が上昇するため,腹部コンパートメント症候群を疑ったら早期に開腹し減圧することが重要であると考えられた。
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© 2016 日本集中治療医学会
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