抄録
当施設では心停止蘇生後患者に対する目標体温管理の導入と維持など,治療を目的とした体温管理に血管内冷却システムを使用している。今回,38歳男性のIII度熱中症患者に対し,体温管理目的に血管内冷却システムを使用し,良好に体温を管理できた症例を経験した。当施設に救急搬送され,体表冷却・冷却輸液などの従来の冷却方法を用いて管理した症例との比較では,目標温度到達時間や冷却速度は両者に差はなかったが,従来型冷却法では体温のリバウンドが認められたのに対して,血管内冷却システムを使用した本症例では目標温度到達後も体温を安定して管理できた。血管内冷却システムは熱中症症例の体温管理にも有用である可能性が示唆された。