日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
小児の終末期について再考する契機となった,長期生存した臨床的脳死の4症例
石飛 奈津子石田 亮介山森 祐治川上 潮小早川 義貴新納 教男越崎 雅行松原 康博
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2016 年 23 巻 4 号 p. 402-404

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抄録
当院で臨床所見から脳死と判断し長期生存した4小児例を経験した。いずれも脳死判定は行われず,ホルモン補充療法を含めた治療を継続した。2014年11月に日本救急医学会,日本集中治療医学会,日本循環器学会から「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン ~3学会からの提言~」が公表され,脳死は終末期として定義された。当院での4症例のうち2症例は当時の社会的背景や終末期に対する認識の相違から,延命治療を継続することとなった。虐待例や家族の病状受け入れの問題から,延命治療中止が困難な例も存在するが,今後は,患児の尊厳を保つためにも医学的に終末期との判断を行い,家族に治療中止を選択肢として提示することも考慮されるべきである。
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© 2016 日本集中治療医学会
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