抄録
【目的】小児ECMO(extracorporeal membrane oxygenation)院内搬送の現状を分析する。当院での搬送体制を踏まえて搬送上の問題点を把握する。【対象・方法】2010年3月から2013年8月までECMO管理中に搬送した症例を診療録から後方視的に検討した。【結果】11症例で17回の院内搬送を行った。月齢中央値は7か月28日[11日~7歳8か月],体重中央値4.8[2.6~22]kgであった。重篤な合併症としては搬送中のECMOフロー低下が1例あった。搬送時の準備物資で対応し搬送完了した。その他には重篤な血栓性・出血性合併症はなかった。搬送前後では有意に体温が低下した。【考察】フロー低下した症例は,搬送前から出血に対して輸血するもバイタルサインが不安定であった。搬送時に重量が重い温水槽を取り外したため,搬送前後で体温が低下したと考える。【結語】今後は,搬送用加温器の導入などの物資面を含めた搬送の体系化が必要である。