抄録
【目的】大腸穿孔患者の退院時の歩行自立の可否と腰部主要筋の断面積との関連性を明らかにすることを目的とした。【方法】調査対象は,外科で大腸穿孔に対して緊急開腹術を施行し,術後ICU管理を行った63症例のうち,除外基準に相当する31例を除いた32例に対し,歩行自立群(n=21)と歩行非自立群(n=11)の2群に分類した。【結果】ロジスティック回帰分析にて歩行自立と関連する要因として抽出された項目は,APACHE IIスコア,転帰,大腰筋面積の1日当たりの変化率であった。【結論】ICU管理中での大腰筋断面積の低下はICU退室後の歩行能力の獲得に対して悪影響を及ぼす可能性があるため,できる限りICUでの早期離床を目指し,離床が困難な症例については,ベッド上で行える筋力トレーニングを積極的に行うことで,大腰筋の筋力低下を予防する必要があると思われた。