日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
Lemierre症候群に対する抗凝固療法中に大量肺出血をきたした1症例
稲田 雄
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2016 年 23 巻 5 号 p. 579-583

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抄録
Lemierre症候群に対する抗凝固療法の是非にはいまだに議論があるが,しばしば併用され,出血の合併症もなく比較的安全であるとされている。今回,Lemierre症候群の治療に抗凝固療法を併用し,その経過中に大量肺出血をきたした稀な症例を経験したため報告する。患者は既往歴のない18歳の女性。急性咽頭炎の症状の後に,発熱,頸部痛,増悪する呼吸困難が現れたため来院。入院時の頸部と胸部CTにて,左顔面静脈と左内頸静脈内の血栓,びまん性肺塞栓を認めた。また,血液培養でFusobacterium necrophorumが陽性であった。抗菌薬に加えてエノキサパリンによる抗凝固療法を開始し,入院7日目に抗凝固薬をリバーロキサバンに変更した。しかし,11日目に大量の肺出血を起こし,大量輸血と挿管・人工呼吸管理を必要とした。肺塞栓を合併するLemierre症候群に対し抗凝固療法を併用する際には,肺出血のリスクを考慮すべきと考えられた。
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© 2016 日本集中治療医学会
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