日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
先天性心疾患術後の抜管後の小児における経鼻高流量酸素療法を利用した一酸化窒素投与の有用性と安全性
京極 都竹内 宗之橘 一也清水 義之籏智 武志文 一恵井坂 華奈子藤原 太
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2017 年 24 巻 1 号 p. 14-17

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抄録

【目的】先天性心疾患術後の抜管後の小児における経鼻高流量酸素療法を利用して行う一酸化窒素(nitric oxide, NO)投与の有用性と安全性を明らかにする。【方法】術後抜管後にhigh-flow nasal cannula(HFNC)を用いてNO投与を行った5症例(Fallot四徴症根治術後2例,Fontan術後3例),年齢27(19~40)ヵ月,体重12.5(9~16)kgを対象として後方視的な検討を行った。評価項目は,NO投与前後の脈拍,平均血圧,P/F比,尿量,回路内のNO濃度,環境二酸化窒素(nitrogen dioxide, NO2)濃度とした。【結果】NO投与前後で脈拍,平均血圧,尿量に有意な変化はなかったが,有意にP/F比の上昇が得られた。HFNC回路内のNO濃度の計算値と実測値との誤差は4~16%であった。また,投与期間中のICU内の環境NO2濃度は0.010~0.018 ppmであった。【まとめ】患者の吸入NO濃度は実測できていないが,先天性心疾患術後に経鼻高流量酸素療法を利用して行うNO吸入療法では,回路内に安定したNO濃度を供給でき有用であった。環境NO2濃度も環境基準を超えることはなく,安全であった。

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© 2017 日本集中治療医学会
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