日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
後天性第V因子インヒビターによる出血を血漿交換で制御できなかった1例
麻生 将太郎大江 恭司前島 克哉今長谷 尚史神田 潤伊藤 史生糟谷 美有紀伊良部 徳次
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2017 年 24 巻 1 号 p. 18-21

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抄録

後天性第V因子インヒビターは様々な原因で抗第V因子抗体が出現し,易出血性をきたす稀な疾患である。交差混合試験,ループスアンチコアグラント,凝固因子活性,凝固因子インヒビターを測定して診断される。治療は止血に新鮮凍結血漿や血小板製剤の投与,インヒビター除去に免疫抑制薬が投与される。無効な場合は,血漿交換を行う。本症例は直腸癌術後,末期腎不全の55歳男性が,体表の複数の血腫を主訴に,後天性第V因子インヒビターと診断された。心タンポナーデが出現し,血腫増大による貧血進行のため,高用量メチルプレドニゾロン療法,リツキシマブや輸血の大量投与を施行しても出血を制御できず,血漿交換を施行した。合計9回の血漿交換を施行したが,出血を制御できず,カテーテル感染による敗血症を合併し,死亡した。血漿交換を施行しても出血を制御できない場合,他の治療法の併用を早期に検討する必要がある。

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© 2017 日本集中治療医学会
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