抄録
「日本版・集中治療室における成人重症患者に対する痛み・不穏・せん妄管理のためのガイドライン」(2014年)公表以降の,わが国の集中治療領域における痛み・不穏・せん妄管理の現状を明らかにすることを目的に,日本集中治療医学会会員を対象にアンケート調査を実施した。アンケートの回答数は466名(回収率5.2%)で,対象者のガイドラインの認知度・活用度は高いが,同職種内での周知度は低かった。過去の調査と比較して,評価スケールを使用した痛み・不穏・せん妄の評価率の増加,鎮痛を基盤とした浅い鎮静管理の実施,せん妄予防のための早期リハビリテーションの実施など,ガイドラインの推奨項目について,一定の実施状況が確認できた。ガイドラインの遵守率を高めるために,ガイドラインの活用方法の周知や評価スケールの教育ツールの提供などが今後の課題である。