日本集中治療医学会雑誌
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委員会報告
日本集中治療医学会会員看護師の蘇生不要指示に関する現状・意識調査
日本集中治療医学会倫理委員会
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2017 年 24 巻 2 号 p. 244-253

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抄録
日本集中治療医学会の正会員のうち,看護師免許を有する者を対象に,蘇生不要〔Do Not Resuscitate(DNR)またはDo Not Attempt Resuscitation(DNAR)〕〔以後,DNR(DNAR)〕指示の現状と看護師の意識調査を実施した。DNR(DNAR)について教育を受けたことがある者は3割にとどまり,そのうち約5割の者は学会主催のセミナーで教育を受けたと回答した。DNR(DNAR)指示により,心停止時の心肺蘇生以外にも多くの治療が終了または差し控えられている。DNR(DNAR)指示が検討される状況には,終末期であること以外に,高齢,認知症,身寄りがない,日常動作が制限されている,などが挙げられている。これらは,DNR(DNAR)がその対象外の人々に適応されて治療が差し控えられている現状を示し,大きな問題と考えられる。さらに,DNR(DNAR)指示の誤用は,看護師の臨床現場での混乱やジレンマにつながっていた。したがって,DNR(DNAR)の正しい理解に関する教育の機会を設ける必要性が急務である。
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© 2017 日本集中治療医学会
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