日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
小児溶血性尿毒症症候群の3例:血漿交換療法の有無による検討
柳 明男原 嘉孝内山 壮太前田 隆求小松 聖史早川 聖子柴田 純平西田 修
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2017 年 24 巻 4 号 p. 412-416

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抄録

腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli, EHEC)感染による溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome, HUS)に対する血漿交換療法(plasma exchange, PE)の有用性は不明である。一方,中枢神経症状発症時期と腎機能障害の関係を示した報告はほとんどない。今回,当院ICUに入室しPEを施行したEHEC感染によるHUSの小児2例,PEを施行しなかったEHECによるHUSの小児1例の経過について腎機能の推移を含め報告する。対象は当院ICUへ入室したEHECによるHUS患児3例。入室時に全例で無尿を認め,持続的血液透析濾過(continuous hemodiafiltration, CHDF)を開始。中枢神経系(central nervous system, CNS)障害を認めた2例に対し,消化器症状発症からそれぞれ9,10日目にPEを3日間施行。2例とも退室時にCNS障害を認めず,CHDF期間はそれぞれ9,13日間であった。CNS障害を認めなかったPE非施行例のCHDF期間は36日間であった。

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