抄録
Prompt法で菌液を調整しMicroScan WalkAway®で判定する手法(MW prompt)でmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に対するvancomycin(VCM)の最小阻止濃度(minimal inhibitory concentration, MIC)を測定した場合,他機種や基準比濁法で測定したMICより高く判定される危険性が指摘されている。そのため,MW promptでVCMのMICが2μg/mlと判定されたMRSA感染症に対するVCMの有効性については不明な部分が多い。今回MRSA肺炎に対しVCMで治療した11例について,MW promptで測定したMIC別の臨床的,細菌学的有効性を検討した。細菌学的有効性を認めた症例は,MIC 1μg/mlの群が3例(50%)であったのに対し,MIC 2μg/mlの群は0例であった。臨床的有効性を認めた症例は,MIC 1μg/mlの群が4例(67%)であったのに対し,MIC 2μg/mlの群は1例(20%)のみであった。今回の検討ではMW promptでMICが2μg/mlと判定された場合,VCMの有効性は過去の報告と同様に,1μg/mlの場合より低い可能性が示唆された。