抄録
Veno venous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)でも過剰な自発呼吸が経肺圧上昇をもたらし,肺障害の悪化を招く可能性がある。症例1は25歳,女性。粟粒結核・重症呼吸不全に対しVV-ECMOを導入した。第6病日に覚醒下におくと吸気終末経肺圧(end inspiratory transpulmonary pressure, EIPL)は24 cmH2Oまで上昇したため,再度深鎮静管理とし,EIPLは7 cmH2Oまで低下した。症例2は51歳,男性。インフルエンザ関連急性呼吸不全・重症air leak症候群に対しVV-ECMO導入となった。第4病日の覚醒下移行後もEIPLは20 cmH2O未満であることから自発呼吸を温存した。今回の2例が新たな肺障害を生むことなく自己肺の改善を認めたことからも,VV-ECMO中の食道内圧測定は過剰な自発呼吸を早期に認知し,自発呼吸温存の可否を決める有効な一指標になり得ると考える。