2023 年 79 巻 13 号 論文ID: 22-13030
道路橋示方書・同解説には,既往実験結果等に基づいて設計に用いる減衰定数が示されており,実橋の地震観測記録を用いた減衰特性の算出結果は直接反映されていない.現行基準で設計された道路橋の減衰特性を検証するためには,十分な知見が蓄積されておらず,実測記録を踏まえて減衰特性などの設定値の検証を進めていく必要がある.本研究は,橋をケーススタディとして,橋全体系で多点観測された記録を用い,部分空間法に基づくシステム同定により橋の固有振動数と減衰特性を算出した.本研究で実施したシステム同定より,橋全体系を構成する要素である地盤や支承部の固有周期や減衰特性を算出できる可能性が示唆された.