日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
総説
胸部外科手術における術後心房細動
横田 泰佑
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 25 巻 3 号 p. 171-177

詳細
抄録

ICUにおいて,新規発症の心房細動は一般的な合併症である。特に心臓手術の術後心房細動(postoperative atrial fibrillation, POAF)の発生率は高い。しかし,心臓手術と比較して,心臓手術を除くPOAFに対する情報は十分ではない。各々の手術でPOAFは術後2日目に発症しやすい傾向にあり,POAFにより入院日数が延長し,死亡率が増加する。予防的薬剤はPOAFを効果的に減少させる可能性がある。POAF発症後は,レートコントロールまたはリズムコントロールが行われるが,これらの治療が実際に有効かどうかは不明である。周術期管理を行う際は,肺切除術では術式によりPOAFの発生率が異なるため注意する。術前からスタチンとβ遮断薬を内服していた患者では内服を継続し,血清マグネシウム濃度が低い場合は,マグネシウム製剤の補充を考慮する。POAFの定義自体が各研究により異なり,不明な点は多い。本稿では,主に肺切除術,食道切除術,肺移植術のPOAFの疫学,危険因子,予防法,治療法について解説する。

著者関連情報
© 2018 日本集中治療医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top