日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
Neurally adjusted ventilatory assistが有用であった慢性肺疾患の乳児例
阿部 迪子壷井 伯彦松本 正太朗西村 奈穂中川 聡
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2019 年 26 巻 3 号 p. 171-175

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抄録

Neurally adjusted ventilatory assist(NAVA)は横隔膜活動電位(electrical activity of the diaphragm, EAdi)の変化を利用した人工呼吸モードで,EAdiトリガーは他のトリガーよりも遅れが有意に短く,人工呼吸器との同調性が悪い症例はNAVAの良い適応と考えられている。我々は,慢性肺疾患の生後10か月の乳児に対して,NAVAが人工呼吸器との同調性改善に有用であった症例を経験した。EAdi値の変化から計測した吸気時間は450 msec,呼気時間は880 msecと呼吸サイクルが非常に短かった。フロートリガー下ではミストリガーが多く,トリガーされている時でも吸気開始は270 msecの遅れがあった。NAVAにより非同期時間が短縮することで人工呼吸器との同調性が改善し,静注鎮静薬の減量が可能となった。患者の見た目の呼吸努力とEAdi値はよく相関しており,EAdi値は有用な指標であった。呼吸サイクルが短く,努力呼吸が強い乳児ではトリガーの遅れが非同期の主要な原因であり,人工呼吸器との同調性改善にNAVAは有用な可能性がある。

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© 2019 日本集中治療医学会
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