日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
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26 巻 , 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
編集委員会より
今号のハイライト
原著
  • 小口 和津子, 山本 周平, 寺島 さつき, 水谷 瞳, 岡本 梨江, 吉村 康夫
    2019 年 26 巻 3 号 p. 163-169
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー

    【目的】心臓血管外科術後の経口摂取開始遅延例の特徴を調査し,遅延に影響する危険因子を抽出すること。【方法】術後リハビリテーションを実施した成人94例を経口摂取開始までの日数で通常群(7日以内)と遅延群(8日以上)に分け,患者背景因子,手術情報,術後合併症,術後経過について後ろ向きに比較検討し,多変量解析にて遅延に影響する危険因子を抽出した。【結果】遅延群は通常群に比し有意に高齢で大血管疾患が多く,術後脳血管疾患,肺炎,嗄声の合併が多かった。また,人工呼吸期間,鎮静薬投与期間,ICU在室日数,術後在院日数が有意に長く,退院時Food Intake LEVEL Scaleが正常に至らない割合が多かった。さらにロジスティック回帰分析の結果,術後脳血管疾患(OR:48.087,95%CI:2.517〜918.612),肺炎(OR:43.839,95%CI:2.244〜856.619),嗄声(OR:8.448,95%CI:1.276〜55.918)の合併が遅延に影響する危険因子として抽出された。【結論】術後の経口摂取開始遅延例は治療経過が不良であり,術後脳血管疾患,肺炎,嗄声の合併は遅延の危険因子である。

症例報告
  • 阿部 迪子, 壷井 伯彦, 松本 正太朗, 西村 奈穂, 中川 聡
    2019 年 26 巻 3 号 p. 171-175
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー

    Neurally adjusted ventilatory assist(NAVA)は横隔膜活動電位(electrical activity of the diaphragm, EAdi)の変化を利用した人工呼吸モードで,EAdiトリガーは他のトリガーよりも遅れが有意に短く,人工呼吸器との同調性が悪い症例はNAVAの良い適応と考えられている。我々は,慢性肺疾患の生後10か月の乳児に対して,NAVAが人工呼吸器との同調性改善に有用であった症例を経験した。EAdi値の変化から計測した吸気時間は450 msec,呼気時間は880 msecと呼吸サイクルが非常に短かった。フロートリガー下ではミストリガーが多く,トリガーされている時でも吸気開始は270 msecの遅れがあった。NAVAにより非同期時間が短縮することで人工呼吸器との同調性が改善し,静注鎮静薬の減量が可能となった。患者の見た目の呼吸努力とEAdi値はよく相関しており,EAdi値は有用な指標であった。呼吸サイクルが短く,努力呼吸が強い乳児ではトリガーの遅れが非同期の主要な原因であり,人工呼吸器との同調性改善にNAVAは有用な可能性がある。

  • 八幡 えり佳, 熊谷 謙, 佐藤 信宏, 廣瀬 保夫
    2019 年 26 巻 3 号 p. 176-180
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー

    脊髄損傷後に高熱が持続しquad feverと診断し,ナプロキセンで解熱が得られた症例を経験した。症例は60歳代の男性で,交通事故により受傷し当院に救急搬送された。重篤な多発外傷で頸髄損傷を合併していた。第2病日より発熱が持続し,感染性と非感染性の熱源検索に難渋したが,最終的にquad feverの診断に至った。ナプロキセンの内服を開始したところ解熱し,リハビリテーション,人工呼吸からのウィーニングを進めることが可能となった。Quad feverは他の熱源の除外が必要であり,診断には労を要する。またquad feverは脊髄損傷の予後を悪化させ,死亡例も報告されている。ナプロキセンはquad feverの解熱に有効である可能性がある。

  • 濵田 奈保, 濵田 暁, 前迫 大樹, 合田 慶介, 清水 達彦, 小川 達彦, 鬼頭 英介, 難波 健利
    2019 年 26 巻 3 号 p. 181-185
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー

    下大静脈(inferior vena cava, IVC)部分切除後の急性腎傷害の報告は少ない。我々は,IVC部分切除後に腎静脈還流障害による急性腎傷害を生じた症例を経験したので報告する。症例は70歳,女性,膵頭十二指腸切除術を施行し,腫瘍浸潤のため腎静脈合流部IVCを部分切除した。術後,輸液に反応不良の尿量減少,Cr値上昇を認め,造影CTで腎静脈合流部IVCの閉塞,右腎腫大を認めた。腎静脈還流障害による急性腎傷害と診断し,腎灌流圧上昇により糸球体濾過量を増加させる目的で,輸液,ノルアドレナリン,バソプレシン投与を行い,平均血圧を術前の120%以上に上昇させることで尿量増加,Cr値改善を得た。その後,造影CTで,側副血行路の形成,右腎腫大の改善を認めた。以後の経過は良好であった。IVC部分切除を伴う膵頭十二指腸切除術後に輸液に反応不良の尿量減少を認めた場合,腎静脈の還流障害を鑑別する必要がある。

短報
委員会報告
  • 日本集中治療医学会倫理委員会
    2019 年 26 巻 3 号 p. 205-216
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー

    日本集中治療医学会倫理委員会では,第45回日本集中治療医学会学術集会の委員会企画で,「方針決定が困難な症例にどの様に対応していくか?」と題して,模擬症例を提示してDo Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示が心肺蘇生以外の治療に与える影響を考えつつ,心肺蘇生以外の終末期医療の意思決定プロセスについてアンケートを交えながら議論した。DNAR指示が出ている場合,心停止時の蘇生処置以外の医療行為も差し控えられる傾向があった。疾患の性質や患者の死生観,人生観によって終末期の経過は異なるため,一概に定義や基準を示すことは困難であるが,3学会合同ガイドラインにある終末期の4つの例が,終末期の基準と捉えられていて,これ以外の終末期には当てはまらないと考えられている可能性が示唆された。アンケートでは人工呼吸管理の中止によって死に至る場合でも,終末期には人工呼吸管理の中止・抜管を行うことがあると答えた参加者が19.2%いた。「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン 〜3学会からの提言〜」あるいは「Do Not Attempt Resuscitation (DNAR)指示のあり方についての勧告」の発表以降,本邦の集中治療領域でDNAR指示が医療行為の中止・差し控えに与える影響や,中止・差し控えの状況がどのように変わったかを調査する必要があると考えられた。

  • 日本集中治療医学会小児集中治療委員会
    2019 年 26 巻 3 号 p. 217-225
    発行日: 2019/05/01
    公開日: 2019/05/01
    ジャーナル フリー

    【目的】わが国における小児集中治療室(PICU)の整備状況を明らかにすること。【方法】日本集中治療医学会小児集中治療委員会は,何らかの特定集中治療室管理料を算定し,専ら小児集中治療を行っている集中治療室を対象として,2013年度より年次施設調査を実施した。調査項目は,病床数,算定している特定集中治療室管理料,専従医数,入室症例数,予測死亡率,実死亡率,治療内容などとした。【結果】2017年度は,対象のPICU全28ユニットから回答があった。総病床数280床,総年間入室症例数10,941例,実死亡率平均1.6%,22ユニットに専従医が配置されていた。2013年度から2017年度までに総病床数は増加傾向にあった。【考察】わが国の重症小児患者発生予測数から検討すると,PICU病床数は不足している。今後はPICU施設整備のあり方について検討するとともに,診療の質や専従医の有用性を評価する必要がある。

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