日本集中治療医学会雑誌
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委員会報告
方針決定が困難な症例にどのように対応していくか?
日本集中治療医学会倫理委員会
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2019 年 26 巻 3 号 p. 205-216

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抄録

日本集中治療医学会倫理委員会では,第45回日本集中治療医学会学術集会の委員会企画で,「方針決定が困難な症例にどの様に対応していくか?」と題して,模擬症例を提示してDo Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示が心肺蘇生以外の治療に与える影響を考えつつ,心肺蘇生以外の終末期医療の意思決定プロセスについてアンケートを交えながら議論した。DNAR指示が出ている場合,心停止時の蘇生処置以外の医療行為も差し控えられる傾向があった。疾患の性質や患者の死生観,人生観によって終末期の経過は異なるため,一概に定義や基準を示すことは困難であるが,3学会合同ガイドラインにある終末期の4つの例が,終末期の基準と捉えられていて,これ以外の終末期には当てはまらないと考えられている可能性が示唆された。アンケートでは人工呼吸管理の中止によって死に至る場合でも,終末期には人工呼吸管理の中止・抜管を行うことがあると答えた参加者が19.2%いた。「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン 〜3学会からの提言〜」あるいは「Do Not Attempt Resuscitation (DNAR)指示のあり方についての勧告」の発表以降,本邦の集中治療領域でDNAR指示が医療行為の中止・差し控えに与える影響や,中止・差し控えの状況がどのように変わったかを調査する必要があると考えられた。

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© 2019 日本集中治療医学会
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