2020 年 27 巻 1 号 p. 11-18
【目的】産科患者における一般成人対象の北里大学病院Rapid Response System(KRRS)起動基準の有用性を後方視的に検証する。【方法】1年間の母体胎児ICU入室症例について診療録よりバイタルサインを抽出し,KRRS起動基準とmodified early obstetric warning system(MEOWS)起動基準において本研究で定義した重症判定の感度,特異度を算出比較した。【結果】重症判定の感度,特異度はKRRS基準では51%,74%,MEOWS基準では83%,79%だった。KRRS基準は妊娠高血圧症候群の見落としや,非重症例での基準抵触の傾向にあった。産科出血の検出においてはMEOWS基準に勝っていた。【結論】KRRS基準の有用性はMEOWS基準と比較して劣らなかった。産科患者への適用に際しては,産科患者の特性につき周知すべきである。