日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
腸閉塞に伴い急激に高マグネシウム血症を呈した一例
金澤 綾子内田 貴之相原 啓二蒲地 正幸
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2020 年 27 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

症例は77歳,女性。腰椎固定術後,入院中にショックとなりICUに入室した。入室時は心拍数50 /minの高度徐脈,血圧測定不能の状態であった。採血上,イオン化マグネシウム(iMg2+)2.34 mmol/Lの高マグネシウム(Mg)血症を認め,これがショックの原因と考えられたことから,緊急血液透析を導入した。血中Mg濃度の低下とともに徐脈は改善し,ICU入室3日目にはショックを離脱した。本症例においてはICU入室25日前より麻痺性イレウスの診断で酸化Mg製剤の内服が開始された経緯があったが,血中Mg濃度は徐々に上昇したのではなく,ICU入室当日に急激に上昇していた。この急激な濃度上昇は,イレウスに伴って腸管粘膜からのMg吸収が亢進したためと推測された。酸化Mg製剤の投与に際しては,腸管からの吸収促進の病態がある場合には慎重に行う必要がある。

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