日本集中治療医学会雑誌
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調査報告
重症患者における不規則抗体の頻度と重要性に関する検討
赤澤 杏奈福島 臣啓余頃 瑞希渡邊 麻衣和田 浩太郎石川 友規河野 圭史奥 格
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2020 年 27 巻 6 号 p. 501-504

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抄録

【はじめに】不規則抗体は,抗A,抗B以外の赤血球抗原に対する抗体である。患者背景により不規則抗体の陽性率は異なるが,ICU入室患者における報告はない。【対象と方法】2012年1月から2015年11月に当院ICUに入室した患者を対象とした。不規則抗体陽性患者においては,年齢,性別,抗体の種類,輸血歴の有無などを電子カルテで調査した。【結果】この期間に不規則抗体検査を実施された患者数は770例で,そのうち陽性例は14例(1.8%),年齢は64.0±14.7歳(平均±標準偏差)で,性別は男性11例,女性3例であった。輸血歴ありが5例(35.7%),なしが4例(28.6%),不明が5例(35.7%)であった。臨床的意義のある温式抗体は10例(1.3%)であった。【結語】不規則抗体陽性患者はまれではなく,当院ICUの陽性率は1.8%であった。ICU患者では輸血歴を問診できない症例が多く,不適合輸血による副作用も重篤となりうる。ICU管理が必要な重症患者に対して不規則抗体検査を積極的に行うことで,輸血による合併症を回避できる可能性がある。

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