【目的】日本の小児集中治療医の経鼻ハイフロー療法(high flow nasal therapy, HFNT)使用方針を記述し,北米および欧州と比較する。【方法】北米,南米,アジア,欧州,豪州計46カ国の小児集中治療医を対象とした国際横断研究。質問は対象施設と属性,HFNTの診療に関するもの,HFNT周辺診療(栄養,鎮静,吸入など),HFNTの研究に関する質問〔continuous positive airway pressure(CPAP)との比較など〕の4つのドメインから構成され,プレテスト,パイロットテストなどの体系的な検証手順を踏み作成された。【結果】計1,031の回答を得,うち日本,北米,欧州からの回答547〔うち日本:51(回答率42%),北米:215,欧州:281〕を本事後研究の解析対象とした。日本では回答者の74%がPICU外(一般小児病棟など)でもHFNTを使用しているとした。他地域コホートに比べ,流量については比較的高流量から開始し,著効のない場合にもnoninvasive ventilation(NIV)への治療エスカレーションを考慮しないとする回答が多かった。また,より多くの小児集中治療医がCPAPに比べHFNTの効果が高いと感じると回答した。日本の回答者間,またそれらを海外と比較した場合に,ウィーニング方法や周辺診療方針について様々な違いがみられた。【結語】HFNTの診療方針は日本の小児集中治療医の間でも様々な点で不均一であり,また海外との違いがみられた。本事後研究で確認された相違などを踏まえ,HFNT関連の研究立案あるいは背景の異なるコホートからの報告を理解する必要がある。
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