日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
横紋筋融解症・急性腎障害による一過性高リン血症後に生じた高カルシウム血症の一例:CTによる石灰沈着の評価
池知 大輔古賀 靖卓原田 佳代子八木 雄史戸谷 昌樹藤田 基鶴田 良介
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2022 年 29 巻 2 号 p. 141-145

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抄録

横紋筋融解症に伴う急性腎障害の経過中に高カルシウム(Ca)血症を認めることがある。その原因は明らかではないが,傷害筋に沈着した石灰の吸収との関連が推察されている。 今回,頻回に撮影されたCTにより,横紋筋内石灰沈着と血清Ca濃度の推移を検証できたため報告する。症例は60歳代,女性。S状結腸穿孔・敗血症性ショックのためICU入室となった。 横紋筋融解症・急性腎障害を合併したため腎代替療法(RRT)を行い,利尿期にRRTを離脱した。これに伴い一過性に高リン(P)血症を発症し,その改善後に重症高Ca血症が出現した。 CTで認めた筋内石灰沈着は,RRT離脱後の高P血症の時期に増悪し,高Ca血症に先立って改善傾向となった。この結果は,血清Ca上昇に石灰吸収が影響していると裏付けるものであり,石灰沈着増悪に影響している高P血症が,亜急性期においても高Ca血症のリスクとなる可能性が示唆された。

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