日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
陽・陰圧体外式人工呼吸器RTXレスピレータを用いた呼吸ケア実施中の脳局所酸素飽和度を測定した3症例
濱田 郁子戸谷 和佳奈岩本 敏志沓澤 智子
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2022 年 29 巻 6 号 p. 575-579

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抄録

陽・陰圧体外式人工呼吸器RTXレスピレータ(RTX®)のsecretion clearance mode (SCM)は,気道クリアランスの促進を目的とした設定である。SCMは胸腔内圧を変動させるため中枢の血行動態に影響する報告があるが,脳血流への影響は明らかではない。そこでSCMが脳血流に及ぼす影響を検討するために,近赤外分光法を用いて,SCM実施中の前頭葉の局所酸素飽和度(regional oxygen saturation, rSO2)を測定した。肺炎の改善を目的にSCM を実施した3症例において,SCM中のrSO2の変化量は,平均で-2.1~+5.1%で,rSO2の変化とMAP,SpO2,PaCO2とに一定の関係は認められなかった。この結果から,測定した3症例では,rSO2に異常な変化は認めなかったため,脳血流への影響は生じていないと考えられた。

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© 2022 日本集中治療医学会
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