日本集中治療医学会雑誌
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学会創立50周年記念特集
栄養療法の最適化を目指すモニタリング
大島 拓
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2024 年 31 巻 4 号 p. 253-260

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抄録

重症患者の複雑な代謝動態を考慮しつつ,身体の要求に対して必要十分な栄養投与を行うための手段として,モニタリングの重要性が認識されている。重症病態の急性期には高度な生体侵襲により,代謝は著しく亢進する場合もあれば,抑制された状態となる場合もあり,侵襲の種類や程度,治療介入,病態の変化や合併症の発症などによって劇的に変化する。間接熱量測定法により消費エネルギー量を測定し,代謝特性に配慮しながら,過不足なくエネルギーを投与することが推奨されている。タンパク質についてはエネルギーほど消費量と必要量の関係性が明確ではなく,窒素バランスによる喪失量の評価や,体組成評価による筋肉量の変化などから,相対的に評価される。モニタリングは,その仕組みや限界を理解して,活用することが求められる。栄養投与の最適なタイミングや必要量を簡便に把握できるようになり,より適切な栄養療法を提供できる環境が整うことが望ましい。

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