2024 年 31 巻 4 号 p. 261-265
小児の長期にわたる鎮静は,薬剤耐性や医原性離脱症候群(iatrogenic withdrawal syndrome, IWS)を引き起こし,管理に難渋する場合がある。患者は14歳,男児。劇症型心筋炎と診断され左心補助人工心臓を必要とし,鎮痛鎮静薬は高用量かつ長期間投与となった。 抜管に向けてIWS発症回避のため薬剤漸減の必要があったが,その過程での安全な管理のために抜管までは鎮静度の維持が必要と考えた。ミダゾラムとフェンタニルは12時間ごとに5%ずつ減量し,その間は適応外使用としてケタミン,イソフルラン,プロポフォールを順に投与し,鎮静度を維持した。プロポフォール中止後は速やかに覚醒が得られたため抜管し,ミダゾラム,フェンタニル中止後にデクスメデトミジンを漸減終了した。経過中はプロポフォール注入症候群,IWS,悪性高熱症を疑う所見を認めなかった。