2024 年 31 巻 5 号 p. 503-507
心機能低下を来した膵頭部癌術後の敗血症性ショックに対して,venoarterial extracorporeal membrane oxygenation(VA-ECMO)だけでなく循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(Impella®,日本アビオメッド)を併用することで,良好な転帰をたどった1例を経験した。患者は67歳,男性。膵頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術,および術後の胃十二指腸動脈断端出血に対し肝動脈塞栓術後であったが,退院後6日目に発熱を主訴に再受診し,肝膿瘍の疑いで入院となった。第5病日に敗血症性ショックとなりICUに入室し,第6病日に敗血症性心筋症による心原性ショックを合併し,Impella® CPおよびVA-ECMOを開始した。数日で心機能は回復し,第11病日にImpella® CPを大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping, IABP)に入れ替えてVA-ECMOを離脱,第12病日にはIABPも離脱し,第15病日にICUを退室した。救命のため機械的循環補助を要する敗血症性心筋症による心原性ショックに対して,Impella®とVA-ECMOを併用することで早期の回復につながる可能性がある。