2024 年 31 巻 6 号 p. 550-558
機械的循環補助(mechanical circulatory support, MCS)は,重症心不全や心原性ショックの有効な治療法として広く用いられている。一方,MCSの従来治療に比べた優位性を証明した質の高い研究は少なく,多くはエキスパートコンセンサスに基づいて使用されているのが現状である。心原性ショックの病態は多様なため,全ての患者に奏功する単一の治療手段はない。このためMCSの使用に際しては,患者の重症度や病態を把握したうえで,導入の可否とその種類を個別にかつ迅速に判断する必要がある。今後,「どのMCSを,どの患者に,どのタイミングで」適用すると有効なのかを明らかにする,質の高いエビデンスの創出が望まれる。