2024 年 31 巻 6 号 p. 544-549
ICUにおける理学療法は,かつては人工呼吸管理中や周術期の急性呼吸不全患者に対する胸部理学療法が中心であった。2000年代後半からは胸部理学療法に加えて,早期離床と運動療法の重要性が強調されている。国内の集中治療領域で行われている早期リハビリテーションは経験的に行われていることが多かったが,2017年に発表された「集中治療における早期リハビリテーション〜根拠に基づくエキスパートコンセンサス〜」により標準的な治療指針が提示された。2018年に新設された早期離床・リハビリテーション加算はICUでの理学療法の普及に貢献した。今後は,ICUに入室する主な疾患群ごとの理学療法の効果の検証やICU に入室する高齢患者への理学療法の効果に関する科学的根拠の蓄積が必要である。