2024 年 31 巻 6 号 p. 575-581
【目的】体温管理療法中における四肢末梢に限定したskin counter warming(SCW)の効果について検証する。【方法】2020年1月から2022年3月にextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)または血管内冷却装置を用いて体温管理療法を実施した18歳以上の患者を対象とした。無作為にSCW群とnon-SCW群の2群に分け,ブランケットが手掌・足底のみに接触するようにし,SCW群には温風を,non-SCW群には室温の空気を送気した。1時間ごとにシバリングの有無を評価し,介入後24時間における両群のシバリング発生回数を検証した。【結果】39例(SCW群 20例,non-SCW群19例)が解析対象となった。年齢の中央値は60歳[IQR 52〜73歳],患者背景に差は見られなかった。四肢皮膚末梢温は8時間以降でSCW群において有意に上昇が見られたものの,介入後24時間におけるシバリング発生回数に差は見られなかった(SCW群 中央値1.5回[0〜7]vs. non-SCW群 6回[1〜11],P=0.18)。 また,8時間ごとのシバリング発生回数とbedside shivering assessment scale,24時間での鎮静・鎮痛薬の投与量にも差はなかった。【結語】体温管理療法中に発生するシバリングに対して,四肢限定SCWは抑制効果を示さなかった。