2025 年 32 巻 論文ID: 32_R14
43歳,男性。インフルエンザウィルス感染を契機に重症肺炎となり人工呼吸管理,およびvenovenous extracorporeal membrane oxygenation(VV-ECMO)が導入された。その後入院10日目に血圧低下を認めショックとなった。経胸壁心臓超音波検査で右心室の拡大,および左心室壁の圧排を認め右心不全によるショックと判断した。しかし,ドブタミンの使用後もショックであったため,venoarteriovenous ECMO(V-AV ECMO)へ回路変更した。変更後は右心不全,ショックは改善し,入院15日目にV-AV ECMOを離脱した。入院20日目に人工呼吸を中止,入院36日目にリハビリテーションを目的に転院した。VV-ECMO中に右心不全およびショックを示す場合,venoarterial ECMOへの回路変更はdifferential hypoxemia への懸念があるためV-AV ECMOへの回路変更が有用かもしれない。