2025 年 32 巻 論文ID: 32_R46
強塩基性のチオペンタールは酸性薬剤との混和で沈殿を生じるため,投与経路を分けることが推奨されている。症例は50代,女性。初発の痙攣重積で搬送され複数の抗痙攣薬,鎮静薬を用いても痙攣のコントロールがつかず,難治性てんかん重積状態の診断でICUに入室した。第40病日に左内頸静脈に挿入された中心静脈カテーテルが抜去困難となり,CTで左内頸~左腕頭静脈にかけて高輝度の血管内異物を認めた。その後抜去できたカテーテルには白色固形が付着しており,電子顕微鏡で観察すると結晶成分が確認できた。第90病日に多臓器不全で死亡したのちに行った解剖では,血管内に灰白色の1〜2 cm大の固形物が複数見られた。中心静脈カテーテルの別ルーメンから投与していたチオペンタール(pH 10.2〜11.2)が,カテーテル先端で酸性薬剤のミダゾラム(pH 2.8〜3.8)やロクロニウム(pH 2.8〜3.2)と混和し結晶化した可能性が考えられた。