2025 年 32 巻 論文ID: 32_R56
症例は66歳,男性。体動困難を主訴に搬送され,偶発性低体温症で入院した。入院12時間後にショックとなりICUに入室,第2病日に左胸腔に急速かつ大量に液体が貯留した。胸水検査では膿胸を示唆する所見を認め,胸腔ドレナージと洗浄を開始した。培養検査でCandida glabrata(Nakaseomyces glabrata)を検出したため,真菌性膿胸と診断した。最近の手術歴や消化管症状を示唆する病歴はなく,CTでも食道壁異常や縦隔気腫は認めなかった。真菌感染の経路として消化管穿孔の可能性を否定できなかったため,上部消化管内視鏡検査を行ったところ,胸部下部食道に広範囲の発赤と一部に白苔付着を認め,消化管造影検査で造影剤の食道からの流出所見を認めた。胸腔開窓術と長期にわたる洗浄を繰り返し,食道穿孔と膿胸は治癒し得た。手術や入院歴のない真菌性膿胸では,消化管手術歴や消化器症状にかかわらず,食道穿孔の積極的検索を行うべきである。