日本集中治療医学会は,高度な専門性に基づく集中治療医療を遠隔診療システムという手段で提供する「遠隔集中治療(telecritical care, TCC)」の普及が,今後の医療提供体制において極めて重要であると認識し,このたびTCCに関するガイドラインを策定することとした。本学会はこれまで,「遠隔ICUの設置と運用に関するガイドライン」およびその改訂版(2023年5月)を公表してきた。今回新たに採用したTCCという概念は,従来のICU単位での遠隔支援(Tele-ICU)に限定されるものではなく,遠隔診療システムを活用した集中治療支援全体の運用プロセスを包括的にとらえるものである。本ガイドラインは,1. 遠隔集中治療の概要と本ガイドラインの目的,2. TCCに関する定義,3. TCCの導入,4. TCCクリニカル・プラクティス,5. TCCシステムの技術的指針の5つのセクションで構成されている。集中治療科専門医をはじめとする高度専門職の人材が十分に確保されていない日本の現状において,本学会は,専門性に裏付けられた倫理的かつ公平な医療の提供を可能とするTCCの普及に努めるとともに,本ガイドラインがTCCの円滑な導入および適正な運用のための指針として広く活用されることを期待するものである。