日本集中治療医学会雑誌
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腎移植後にアザチオプリンが原因と思われる間質性肺炎を生じた1症例
早川 峰司丸藤 哲鹿野 恒山崎 圭佐藤 朝之亀上 隆森本 裕二松原 泉
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2003 年 10 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

腎移植後の免疫抑制薬投与中のcornpromised hostに発生したアザチオプリン(azathioprine,AZ)によると考えられる間質性肺炎を経験した。患者は腎移植後であり,AZなどの免疫抑制薬を投与されていた。移植から9ヵ月経過した頃より,発熱と咳嗽が出現し,その1週間後に当院入院となった。胸部CTなどで軽度の間質性肺炎を認めた。日和見感染による間質性肺炎を疑い,各種感染症に対する治療も開始したが反応せず,入院から4週後に死亡した。AZの総投与量は15,750mgであった。剖検にて,肺は間質性肺炎の像を示していたが感染を示唆する所見はなかった。原因は確定できなかったが,AZが最も疑われた。AZの投与を受けている患者はcompromised hostであり,日和見感染による間質性肺炎にも注意が必要であるが,AZによる間質性肺炎も鑑別疾患の一つとして重要である。

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