日本集中治療医学会雑誌
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リトドリンの長期使用が帝王切開後の肺水腫の原因と考えられた1症例
仁木 佳実高須 昭彦榊原 克巳松崎 由里子坪井 英之水口 一衛
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2003 年 10 巻 3 号 p. 201-205

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抄録
流早産防止を目的にβ2アゴニストのリトドリンを妊娠15週から経口服用していた28歳の女性が,22週に産科入院し,リトドリン(67~200μg・min-1)の持続点滴を受けた。妊娠前および経過中に循環器系の異常はなかった。38週に帝王切開術で正常児(Apgar score 9点)を出産後,突然呼吸困難を訴えたため集中治療室に運ばれ,急性心不全による肺水腫と診断された。心エコーでは壁運動の低下,心電図で広範囲の虚血性変化を認め,[201T1]タリウム心筋シンチグラムおよび[123I]MIBGシンチグラムでは核種の集積低下があり,たこつぼ様心筋障害の所見が得られた。血中creatine phosphokinase (CPK)の上昇はなかった。酸素吸入と利尿薬で急速に改善,4日後に産科に帰棟,19日後には退院した。流早産防止のための慢性的なβ2アゴニストの投与は帝王切開後の急性心不全,たこつぼ様心筋障害の発症に関連している可能性がある。
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