日本集中治療医学会雑誌
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10 巻, 3 号
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  • 岡元 和文, 関口 幸男, 今村 浩
    2003 年 10 巻 3 号 p. 155-163
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    急性呼吸不全に対する“最良のPEEP (positive end-expiratory pressure)”については議論が多い。臨床現場ではその使用に際して混乱している。PEEPに関する歴史を再検討しながら,PEEPの呼吸および循環への影響,肺サーファクタントとサイトカインへの影響,肺形態への影響(肺虚脱の機序とPEEP,圧-容量曲線とPEEP)を解説した。最良のPEEPを探すために,minimal PEEP,酸素運搬量を最大に保つPEEP,人工呼吸器関連肺傷害の予防を目的としたPEEP,呼吸仕事量軽減のためのPEEPを検討してみた。現時点では“最良のPEEP”を特定する方法はない。急性呼吸不全に対する“最良のPEEP”を求めて,まだまだ研究が不可欠である。
  • 林 和敏, 田口 学, 寺澤 篤, 田口 弥人, 大久保 一浩, 安田 邦光, 石田 進, 高須 宏江
    2003 年 10 巻 3 号 p. 165-170
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    ICUにおいて血液浄化療法を施行した急性腎不全患者の実態を明らかにすることを目的とした。1999年1月から2001年12月までにICU入室後,血液浄化療法を導入した126例を対象として,retrospectiveに調査し,生存退院した生存群(49例)と院内死亡した死亡群(77例)の2群に分類して比較検討した。救命率は38.9%であった。腎不全の原因は敗血症,虚血・低血圧が多く,死亡群では他の臓器不全を多く合併した。生存群では43例(87.8%)が血液浄化療法を離脱でき,死亡群は平均20.4日間血液浄化療法を施行し74%が30日以内に死亡した。医療技術の向上に伴い,ICUにおいて血液浄化療法の対象となる症例は重症化しており,急性腎不全患者の予後は,原疾患や合併する臓器不全の重症度による。生存群での腎予後が良好な一方で,予後不良例に対して漫然と血液浄化療法を施行している可能性が示唆された。血液浄化療法の導入ないし継続においては,重症度評価などを行い,適応を明確にする必要があると思われる。
  • 澤崎 優, 小川 裕, 岡阪 敏樹, 橋詰 令太郎, 山名 孝治, 宮木 祐輝, 石川 寛, 三浦 あゆ子
    2003 年 10 巻 3 号 p. 171-177
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    米国疾病対策センター(CDC)の手術部位感染(SSI)防止ガイドライン(1999年版)に基づいて2種類の予防的抗菌薬を選択し,ガイドラインに従った投与法で心臓,胸部大血管手術に適用し,SSIの発症率を比較検討した。1999年9月から2002年1月に同一術者が担当した連続120例を対象とした。抗菌薬の投与は執刀1時間前と,術後1回のみとした。前期59例にはSBT/ABPCを,後期の61例にはCEZを用いた。SSIの発症率はSBT/ABPC群で3.4%,CEZ群で9.8%であった(NS,P=0.147)。虚血性心疾患に限った場合もSBT/ABPC群で4.0%,CEZ群で14.6%であった(NS,P=0.17)。CEZ群のSSI発症率は高値で,SBT/ABPC群の発症率は容認できる値であった。また,抗菌薬の投与期間を減らすことで,菌交代現象による多剤耐性菌感染症を抑制できた。
  • 白石 義人, 横山 順一郎, 真弓 雅子, 内山 智浩, 佐野 秀樹, 及川 文雄, 航 尚子, 福田 員茂
    2003 年 10 巻 3 号 p. 179-181
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は35歳男性,190cm,100kgで糖尿病を合併していた。頭痛,嘔吐を主訴として救急搬送され呼吸停止したために心肺蘇生術を施行しながらICU入室した。小脳梗塞,脳浮腫のため後頭蓋下開頭術を亜酸化窒素,酸素,セボフルラン,フェンタニルとベクロニウムの全身麻酔で行った。術後第1病日に不穏のため鎮静目的でプロポフォールを3mg・kg-1・hr-1で開始した。術前119U・l-1だったCKは第3病日には2,381U・l-1,第4病日に2,334U・l-1と高値を示したためプロポフォール投与は中止した。ポートワイン尿はみられず,体温は36.2~38.7℃の範囲で変動した。確定診断のために提出した尿中ミオグロビンは404ng・ml-1と高値を示し横紋筋融解症が証明された。退院時のCKと尿中ミオグロビンは正常範囲内に復した。ICUで小児に長期多量投与されたプロポフォール(日本では小児への投与は保険上認められていない)が横紋筋融解症を起こした報告が散見される(Hanna JP, et al. Neurology 1998; 50: 301,他)。今回,ICUでの鎮静目的で投与された成人最低維持量のプロポフォール(3mg・kg-1・hr-1)が原因と考えられる。一過性の血清CK上昇および尿中ミオグロビン出現で証明された成人横紋筋融解症の1例を報告し,定期的なCK検査の重要性を強調した。
  • 村田 寛明, 寺尾 嘉彰, 澄川 耕二
    2003 年 10 巻 3 号 p. 183-186
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    CD4(+),CD56(+)悪性リンパ腫は稀な疾患であるが,急速進行性で悪性度が高く,腫瘍細胞の皮膚浸潤が特徴である。症例は76歳男性。背部皮下腫瘤を自覚して2週間後,呼吸困難が出現し,急速に増悪した。胸部単純X線写真にて両肺野のびまん性浸潤影を呈し,人工呼吸管理が必要となった。リンパ節生検および気管支肺胞洗浄(BAL)により,CD4(+),CD56(+)悪性リンパ腫の肺浸潤が急性呼吸不全の原因として考えられ,化学療法を行った。化学療法後,呼吸状態は急速に改善し,人工呼吸器から離脱した。胸部単純X線写真において両側びまん性浸潤影を呈する急性呼吸不全が生じた場合,稀ではあるが悪性リンパ腫細胞の肺浸潤を鑑別診断に入れる必要がある。確定診断にはBALが有用と考えられる。CD4(+),CD56(+)悪性リンパ腫の肺浸潤例,化学療法による急性呼吸不全の寛解例は報告がなく,貴重な症例と考えられた。
  • 林 真雄, 奥 格, 溝渕 知司, 竹内 護, 五藤 恵次, 松三 昌樹, 片山 浩, 森田 潔
    2003 年 10 巻 3 号 p. 187-191
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性。低位前方切除術を施行され,術後1週間目頃より38℃台の発熱を認め,循環動態不安定となり無尿となったため,当院ICU入室となった。入室時より敗血症性ショックに対する治療を行ったが,尿が得られず持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)を開始した。入室2日目にβ-Dグルカン濃度を測定したところ5,220pg・ml-1と著しい高値を示し,同日の血液培養からはCandida albicansが検出された。ミコナゾール静注,アムホテリシンB静注および経管投与,フルコナゾール静注により,約2週間後にショックから離脱した。以後,人工呼吸器から離脱,腎不全は改善せず維持透析となったが,(入室37日目)ICUを退室した。本症例では,ICU入室当初明らかに深在性真菌症を原因とするβ-Dグルカン濃度の著しい高値があったが,症状軽快にもかかわらず,経過中β-Dグルカン濃度は500~1,000pg・ml-1と高値が持続し,ICU退室後も改善せず,原因として真菌感染の持続状態が考えられたが,同定には至らなかった。
  • 金田 浩太郎, 井上 健, 定光 大海, 若月 準, 高橋 勉, 鶴田 良介, 前川 剛志
    2003 年 10 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    重症破傷風による横紋筋融解を来たし急性腎不全に陥った症例を経験した。症例は47歳,男性。左足背挫創の受傷後8日目に開口障害,項部硬直にて発症し入院となった。第2病日より意識障害,全身痙攣,著明な心拍数・血圧変動が出現しICUに転棟となった。著明な高クレアチンホスホキナーゼ(creatine phosphokinase, CPK)血症,高ミオグロビン血症を呈し,急性腎不全に陥ったため持続鎮静,人工呼吸下に持続血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)を開始した。CHDF開始後,血中ミオグロビン値,尿中ミオグロビン値は経過とともに低下傾向を認めたが,長期間にわたって比較的高値で推移した。第23病日より尿量の増加,血中blood urea nitrogen (BUN), creatinine (Cr)値の低下を認めたためCHDFより離脱することができた。重傷破傷風患者では横紋筋融解症による急性腎不全を考慮した全身管理が必要と考えられた。
  • 松本 周平, 寺尾 嘉彰, 福崎 誠, 高田 正史, 山下 和範, 澄川 耕二
    2003 年 10 巻 3 号 p. 197-199
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    頸椎前方後方固定術後に咽頭浮腫に伴う上気道閉塞を認めた4症例を経験した。このうち3例では,術後抜管したところ遅発性に上気道閉塞による呼吸不全を来たし再挿管を要したが,咽頭内視鏡にて咽頭浮腫の軽減を確認後,抜管した。1例は術後2日目に咽頭内視鏡にて咽頭浮腫を認めたため抜管せずに浮腫に対する治療を続け,内視鏡にて定期的に観察し浮腫の軽減を確認後抜管し,良好に経過した。
    頸椎前方後方固定術後には咽頭浮腫によると考えられる遅発性の上気道閉塞が起こりうるので注意が必要であり,予防的人工呼吸の継続が有効である。またその際の抜管時期の決定には,咽頭内視鏡による上気道評価が必要である。
  • 仁木 佳実, 高須 昭彦, 榊原 克巳, 松崎 由里子, 坪井 英之, 水口 一衛
    2003 年 10 巻 3 号 p. 201-205
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    流早産防止を目的にβ2アゴニストのリトドリンを妊娠15週から経口服用していた28歳の女性が,22週に産科入院し,リトドリン(67~200μg・min-1)の持続点滴を受けた。妊娠前および経過中に循環器系の異常はなかった。38週に帝王切開術で正常児(Apgar score 9点)を出産後,突然呼吸困難を訴えたため集中治療室に運ばれ,急性心不全による肺水腫と診断された。心エコーでは壁運動の低下,心電図で広範囲の虚血性変化を認め,[201T1]タリウム心筋シンチグラムおよび[123I]MIBGシンチグラムでは核種の集積低下があり,たこつぼ様心筋障害の所見が得られた。血中creatine phosphokinase (CPK)の上昇はなかった。酸素吸入と利尿薬で急速に改善,4日後に産科に帰棟,19日後には退院した。流早産防止のための慢性的なβ2アゴニストの投与は帝王切開後の急性心不全,たこつぼ様心筋障害の発症に関連している可能性がある。
  • 青山 ゆかり, 柴山 健三, 中村 純子, 石井 潤一
    2003 年 10 巻 3 号 p. 207-209
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 桜井 学, 高原 善治, 茂木 健司, 中山 光由
    2003 年 10 巻 3 号 p. 211-212
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 鶴田 宏史, 福井 道彦, 小尾口 邦彦, 下里 豪俊, 別府 賢
    2003 年 10 巻 3 号 p. 213-214
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 八井田 豊, 佐々木 俊弘, 黒田 早苗, 佐藤 健治, 大川 雅廣, 仁熊 敬枝, 松本 睦子
    2003 年 10 巻 3 号 p. 215-216
    発行日: 2003/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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