日本集中治療医学会雑誌
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悪性腫瘍の化学療法中に急激な中枢神経障害を来した1症例
長田 有子森 芳映石本 雅幸安田 善一鈴木 久人高倉 康藤林 哲男福田 悟
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2003 年 10 巻 4 号 p. 359-363

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抄録
我々は化学療法中に急激な意識障害に陥った症例を経験した。患者は49歳,女性。子宮頸癌に対する化学療法として5-フルオロウラシル(5-FU),シスプラチンを用いて4日間の投薬予定であった。化学療法開始2~3日後から意識障害を生じ,化学療法終了後も意識状態の改善を認めなかったためICU入室となった。体性感覚誘発電位および視覚誘発電位による神経生理学的検査および画像検査により,後頭葉を中心とした白質脳症と診断された。抗癌剤による白質脳症の原因薬剤としてはフルオロウラシル系抗癌剤が知られており,その発症時期は化学療法開始2週間以後で,ほとんどは可逆的で後遺症を残さない。本症例は化学療法開始後早期の意識障害の出現と不可逆的な意識障害から5-FUによる白質脳症の重症型と考えられる。
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