日本集中治療医学会雑誌
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日本におけるautomated external defibrillator一般解禁とpublic access defibrillationの夜明け
三田村 秀雄
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2004 年 11 巻 1 号 p. 19-26

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抄録

これまで救命における市民の貢献は119番通報と,いわゆる心肺蘇生法に限られていた。いずれも救急救命士が駆けつけて除細動を行うまでの時間つなぎとしての役割を演じただけであった。しかし救急車の到着を待って除細動を行うやり方では,ほとんどの場合,心停止後すでに10分以上を経過しており,心原性心停止の救命率は3%にとどまっていた。2003年8月8日,厚生労働省は自動体外式除細動器(automated external defibrillator, AED)の一般解禁の方針を表明した。この規制緩和は,AEDを予め適所に配備しておくことによって,除細動を成功率の高い5分以内に実施可能にするとともに,脇役であった市民を救命の主役に位置づけるものである。AEDを用いた市民による早期除細動(public access defibrillation, PAD)は簡単,安全,かつ何よりも効果的な救命処置である。市民による市民に対する市民のためのPADが日本の救命率を向上させることを期待して止まない。

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