A群レンサ球菌(
Streptococcus pyogenes)感染によるtoxic shock-like syndrome (TSLS)にG群レンサ球菌感染による軟部組織炎を合併した稀な症例を経験した。症例は41歳男性。40℃の発熱と咽頭痛,全身の筋肉痛で発症し,ショック,黄疸,出血傾向,外陰部に紅斑と圧痛を伴う腫脹を呈したため当院ICUに収容した。血液培養からA群レンサ球菌が,陰茎部の分泌物からG群レンサ球菌が同定された。アンピシリン,リン酸クリンダマイシン,γ-グロブリン製剤およびステロイド投与,人工呼吸管理,血液浄化療法で全身状態は改善した。1ヵ月後に外陰部の壊死を伴う軟部組織炎に対し,デブリドメンを行った。しかし無顆粒球症が続き,3ヵ月後の骨髄穿刺で急性骨髄性白血病と診断された。TSLSを呈する重症感染症で,汎血球減少や脾腫がある症例,G群レンサ球菌が関連した症例,感染がコントロールされた後も無顆粒球症が続く症例は,潜在する悪性疾患の検索が必要である。
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