日本集中治療医学会雑誌
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関節造影後に生じた遅発性ショックの1症例
宮田 和人伊藤 樹史柳田 国夫立原 弘章白石 修史伊藤 寛之山口 達郎星野 伸二
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2004 年 11 巻 2 号 p. 117-121

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抄録
症例は68歳男性。近医で肩関節造影を受け,翌日意識混濁を来した。造影剤による遅発性ショックが疑われ当院ICU搬送となった。ICU入室時,血圧40/20mmHg,脈拍数130min-1とショック状態であった。輸液負荷,カテコラミン,ステロイドによる治療を開始した。検査所見では血小板の減少とfibrin degradation product (FDP)の増加を認めdisseminated intravascular coagulation (DIC)であった。またショックによる肝逸脱酵素の上昇と腎機能の低下を認めた。DICに対しては補充療法と抗凝固療法,腎機能低下に対しては持続血液濾過透析(CHDF)を施行した。循環動態の安定化とともに全身状態は改善し,第22病日に一般病棟に転室した。造影剤による遅発性副作用は多くの場合軽症である。本症例のように関節造影後約12時間で遅発性ショックを来した報告はない。造影剤検査後は遅発性副作用も念頭に置いた経過観察も大切である。
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