日本集中治療医学会雑誌
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閉塞性肥大型心筋症症例での開心術後に発症した治療抵抗性心室頻拍に対してニフェカラントが奏効した1症例
下村 毅成田 裕司水谷 真一碓氷 章彦渡邊 孝上田 裕一
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2004 年 11 巻 2 号 p. 123-126

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抄録
閉塞性肥大型心筋症患者の開心術後に発症した治療抵抗性心室頻拍に対してニフェカラントを投与することによって,心室頻拍の停止に成功し救命しえた症例を経験した。症例は71歳,女性で,僧帽弁狭窄兼逆流症を合併した閉塞性肥大型心筋症と診断され,中隔心筋切除術と僧帽弁置換術を行った。術後2日目より発作性心房細動が頻発し,各種I群抗不整脈薬を投与し洞調律に復したが,術後9日目に心室頻拍が出現し,循環虚脱になったため,直ちに心肺蘇生術を行い,直流通電,リドカイン,リン酸ジソピラミド,塩酸ベラパミルの投与は無効だったが,ニフェカラントの投与で心室頻拍の停止に成功し救命しえた。ニフェカラントは,1999年に認可された本邦で使用しうる唯一のIII群静注用抗不整脈薬で,有効性の評価には症例の集積が必要だが,閉塞性肥大型心筋症に合併した治療抵抗性心室頻拍では有用である可能性があると考えられる。
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