日本集中治療医学会雑誌
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ICU患者家族のニーズの抽出とニーズ測定尺度の開発
辰巳 有紀子羽尻 充子中村 尚美当目 雅代恒藤 暁柏木 哲夫橋本 悟藤田 綾子
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2005 年 12 巻 2 号 p. 111-118

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抄録

日本におけるICU入室患者家族のニーズの構造を明確にすることを目的とし,家族を対象として質問紙調査を実施した。112名の回答を分析した結果,すべての家族に共通して「必要・重要」とされる項目と,家族によって回答に散らばりのみられる項目があり,家族のニーズは二層構造となっていることが示唆された。すべての家族から「必要・重要」という回答を得た15項目についてKJ (Kawakita Jiro)法を実施した結果,「医療技術・スタッフへの期待や信頼」10項目と「病状・治療に関する基本的な情報」5項目に分類された。また回答に散らばりのみられた33項目について探索的因子分析を行い,抽出された3因子についてそれぞれステップワイズ探索的因子分析をした結果,「医療スタッフからのサポートに関するニーズ」,「情報を適時に得たいというニーズ」,「面会における融通性に関するニーズ」の3因子15項目からなるニーズ尺度が作成された。本尺度については一部の信頼性と妥当性が実証され,ICU入室患者家族のニーズの個人差を測定するのに適切な尺度であるといえた。

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