日本集中治療医学会雑誌
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経皮的ドレナージ術とエンドトキシン吸着療法にて救命し得た気腫性腎盂腎炎の1症例
泰井 敦子小尾口 邦彦福井 道彦別府 賢大澤 武林 章平
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2005 年 12 巻 2 号 p. 119-121

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抄録

我々は,経皮的ドレナージ術とエンドトキシン吸着療法により救命し得た気腫性腎孟腎炎の1例を経験したので報告する。患者は40歳女性。39℃台の発熱と悪心を主訴に当院救急外来を受診した。血液検査上,高度の炎症反応を認め,血圧70/44mmHgとショック状態であった。入院後の腹部・骨盤CT上,右腎実質内に限局するガスと鏡面形成を認めたため,気腫性腎孟腎炎と診断した。入院翌日には全身状態の悪化を認めたため,ICUへ入室となった。同日右腎に対して経皮的ドレナージ術を施行した。血中エンドトキシン濃度が110pg・ml-1と高値を示したため,2回のエンドトキシン吸着療法を施行した。エンドトキシン吸着療法により血圧は回復傾向を示し,血中エンドトキシン濃度も順調に低下したため,ICU入室3日目に退室となった。その後の経過は良好であり,第37病日に軽快退院した。気腫性腎孟腎炎は致死率の高い急性腎孟腎炎である。腹部CTにおけるガスや膿瘍の存在位置・進展により,早期に適切な治療法を選択することが重要である。本症例では,エンドトキシン血症によるショック状態も呈しており,エンドトキシン吸着療法が有用であった。

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