症例は3歳女児。急性上気道炎に対し処方された解熱薬・抗生物質などを内服開始後2日目より皮膚の水疱・びらんが全身に進展し中毒性表皮壊死症候群と診断され,ステロイドパルス療法などの治療が開始された。第4病日に呼吸状態が悪化し人工呼吸を開始したが,低酸素血症が改善しないため酸素化補助と肺病変改善を待つ目的で第9病日に体外式肺補助を導入した。抗凝固薬による出血傾向などの合併症のため第20病日に体外式肺補助を中止したが,その後の呼吸管理は容易ではなく,第24病日に持続する低酸素血症のため死亡した。本症例では閉塞性細気管支炎と細菌性肺炎の合併により重篤な呼吸不全を来し救命しえなかった。本疾患における肺合併症発生頻度は約25%とされ,ときに致命的となることが報告されているため,発症早期より肺合併症に留意し厳重な呼吸管理を行う必要がある。