日本集中治療医学会雑誌
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メシル酸イマチニブの関与が強く疑われた急性間質性肺炎の1例
立石 順久阿部 恭久笹川 真一指山 浩志間宮 俊太平澤 博之織田 成人
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2006 年 13 巻 2 号 p. 145-149

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抄録

Gastrointestinal stromal tumor (GIST)の治療中に発生した,メシル酸イマチニブによると考えられる間質性肺炎を経験した。症例は82歳男性。消化管出血,腹腔内転移を伴うGISTに対し,メシル酸イマチニブの内服を開始し,原発巣,転移巣ともに著明な縮小を認めていた。内服開始35日目頃から労作時呼吸困難,咳嗽が出現し,38日目に入院した。胸部X線上広範囲のスリガラス状陰影を認め,急速に進行する高度の低酸素血症を示したため,同日人工呼吸管理とした。経過よりメシル酸イマチニブによる薬剤性間質性肺炎が疑われたため投与を中止し,メチルプレドニゾロン1g静注を3日間行ったところ,低酸素血症は改善した。その後,ステロイド内服下にメシル酸イマチニブを減量再開し,経過良好である。現時点でメシル酸イマチニブによる間質性肺炎の報告例は稀だが,使用に当たり十分な注意が必要と考えられた。

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